高血圧では、左心室が高い圧に逆らって血液を送り出すため、持続的な圧負荷を受ける。初期には心筋を厚くする左室肥大で拍出力を保つが、肥大した心筋では酸素需要が増え、微小循環障害や炎症が起こりやすくなる。やがて心筋細胞間にコラーゲンが沈着し、心筋硬化・線維化が進行する。その結果、左室は拡張しにくくなり、血液を十分に受け入れられない拡張障害を生じる。進行すると肺うっ血や息切れを伴う心不全に至る。
- HFpEF(左室駆出率保持型心不全)
収縮能は保たれるが、心筋が硬くなり拡張できないタイプ
→ 高血圧由来で最も典型的 - HFrEF(左室駆出率低下型心不全)
さらに進行し、収縮力も低下した状態
整理すると、
高血圧性心疾患 → HFpEF → HFrEF
という進行モデルになる。
高血圧性心疾患の機序は、慢性的な圧負荷に対する左室の代償反応が、やがて心筋障害へ転じる過程である。
1. 高血圧による後負荷増大
左室は高い血圧に逆らって血液を送り出すため、収縮時の負荷が増える。
2. 左室肥大
心筋細胞が太くなり、壁を厚くして拍出力を保とうとする。
3. 酸素需要増加・微小循環障害
肥大した心筋は酸素を多く必要とするが、毛細血管の増加が追いつかず、相対的な虚血を起こしやすい。
4. 心筋線維化・硬化
慢性負荷、炎症、神経体液性因子によりコラーゲン沈着が進み、心筋が硬くなる。
5. 拡張障害
左室が広がりにくくなり、血液を十分に受け入れられなくなる。
6. 心不全
左房圧・肺静脈圧が上昇し、肺うっ血、息切れ、運動耐容能低下を起こす。典型的にはHFpEFへ進行する。
心室リモデリングは、主に以下の部分に含まれる。
2. 左室肥大
高血圧による圧負荷に対して、左室壁が厚くなる。これは心室リモデリングの初期変化。
4. 心筋線維化・硬化
心筋細胞の肥大、細胞外基質の増加、コラーゲン沈着により、心室構造が作り替えられる。これも心室リモデリングの中心。
5. 拡張障害
リモデリングの結果として、左室が硬くなり拡張しにくくなる。