冠動脈は、心臓自身に酸素と栄養を供給する専用血管である。大動脈の起始部から左右に分かれ、心臓表面を走行しながら心筋へ血液を送る。安静時の冠血流量は約200〜250mL/分で、心拍出量の約4〜5%に相当する。心臓は体重に占める割合は小さいが、常に収縮を続けるため酸素需要が高い。冠動脈血流が不足すると、心筋虚血、狭心症、心筋梗塞につながる。
「冠動脈硬化は、左前下行枝近位部・左冠動脈主幹部・右冠動脈近位部など、入口に近く血流負荷が大きい部位に好発する」
動脈硬化の好発部位は、血管分岐部・湾曲部・血流が乱れやすい部位である
冠動脈は、心臓自身の筋肉である心筋へ酸素と栄養を供給する血管である。心臓は全身へ血液を送るポンプだが、心筋自体も大量の酸素を必要とするため、大動脈の根元から左右の冠動脈が分岐して心臓表面を走行する。
右冠動脈は主に右心房・右心室、心臓下面、房室結節などへ血液を送る。右心系や刺激伝導系に関係し、閉塞すると下壁梗塞、徐脈、房室ブロックを起こしやすい。
左冠動脈は左前下行枝と左回旋枝に分かれる。左前下行枝は左室前壁・心室中隔、左回旋枝は左室側壁・後壁の一部を栄養する。左室は全身へ血液を送るため負荷が大きく、左冠動脈の障害は重症化しやすい。
運動、高血圧、頻脈、貧血などで心筋酸素需要が増えると冠血流への負荷が高まる。動脈硬化で冠動脈が狭窄すると、需要に供給が追いつかず狭心症を生じる。完全閉塞すると心筋梗塞となり、心筋壊死、不整脈、心不全につながる。
冠動脈の動脈硬化は、血流が乱れやすい分岐部や近位部に起こりやすい。特に左前下行枝、左回旋枝、右冠動脈の入口付近から近位部が重要である。分岐部では渦流や低ずり応力により血管内皮が障害され、LDLの侵入、炎症細胞の集積、プラーク形成が進む。冠動脈が狭窄すると、運動や頻脈などで心筋酸素需要が増えた際に血流が不足し、狭心症を生じる。プラーク破綻に血栓形成が加わり血管が閉塞すると、心筋梗塞となる。