炎症

炎症は、感染、外傷、虚血、自己免疫反応、代謝異常などにより組織が障害されたときに起こる生体防御反応である。障害部位ではDAMPsやPAMPsが認識され、マクロファージなどの免疫細胞が活性化し、IL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを放出する。これにより血管拡張、血管透過性亢進、白血球の動員が起こり、発赤、腫脹、熱感、疼痛を生じる。急性炎症は異物排除と修復に働くが、慢性化すると組織障害や線維化につながる。

  • 感染
    • 病原体成分を異物として認識する炎症
    • 細菌、ウイルス、真菌、寄生虫
    • PAMPs認識が中心
  • 障害
    • 壊れた自己組織を危険信号として認識する炎症
    • 外傷、熱傷、虚血、梗塞、手術侵襲
    • DAMPs認識が中心
  • 代謝異常
    • 代謝ストレスや蓄積物が免疫を刺激する炎症
    • 肥満、高血糖、脂質異常、尿酸結晶、酸化ストレス
    • 低度慢性炎症になりやすい
  • 免疫異常
    • 免疫反応そのものの誤作動・過剰反応による炎症
    • 自己免疫、アレルギー、免疫複合体、補体異常
    • 自己抗体、IgE、T細胞、補体などが関与

  • 感染を起点にした炎症の機序

    1. 病原体が侵入する
      細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などが粘膜・皮膚・血液・組織内に侵入する。
    2. PAMPsが認識される
      病原体に特徴的な成分が、マクロファージ、樹状細胞、好中球などの自然免疫細胞に認識される。
    3. 免疫細胞が活性化する
      マクロファージや樹状細胞が活性化し、IL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを放出する。
    4. 血管反応が起こる
      血管拡張と血管透過性亢進が起こり、発赤、熱感、腫脹が生じる。
    5. 白血球が動員される
      好中球や単球が感染部位へ移動し、病原体の貪食・殺菌・排除を行う。
    6. 全身反応が起こる
      IL-6などの刺激で肝臓がCRP、SAAなどの急性期蛋白を産生し、発熱や白血球増加も起こる。
    7. 病原体排除と修復へ進む
      病原体が排除されると炎症は収束し、組織修復へ移行する。排除できない場合は慢性炎症や臓器障害へ進む。

  • 障害を起点にした炎症の機序

    1. 組織が障害される
      外傷、熱傷、虚血、梗塞、手術侵襲、放射線などにより、細胞や組織が損傷する。
    2. DAMPsが認識される
      壊死細胞や障害組織から放出された危険信号が、マクロファージ、樹状細胞、好中球などの自然免疫細胞に認識される。
    3. 免疫細胞が活性化する
      マクロファージや樹状細胞が活性化し、IL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを放出する。
    4. 血管反応が起こる
      血管拡張と血管透過性亢進が起こり、発赤、熱感、腫脹が生じる。
    5. 白血球が動員される
      好中球や単球が障害部位へ移動し、壊死細胞、細胞破片、障害組織の除去を行う。
    6. 全身反応が起こる
      IL-6などの刺激で肝臓がCRP、SAAなどの急性期蛋白を産生し、発熱や白血球増加も起こる。
    7. 組織除去と修復へ進む
      壊死組織や細胞破片が除去されると炎症は収束し、組織修復へ移行する。障害が持続する場合は慢性炎症や線維化へ進む。


  • 代謝異常を起点にした炎症の機序

    1. 代謝異常が生じる
      肥満、高血糖、脂質異常、尿酸結晶、酸化ストレス、脂肪肝などにより、細胞や組織に代謝ストレスが加わる。
    2. 代謝ストレス・DAMPsが認識される
      脂肪酸、酸化LDL、AGEs、尿酸結晶、障害細胞由来DAMPsなどが、マクロファージ、樹状細胞、好中球などの自然免疫細胞に認識される。
    3. 免疫細胞が活性化する
      マクロファージや樹状細胞が活性化し、IL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを放出する。
    4. 血管反応が起こる
      血管拡張と血管透過性亢進が起こり、発赤、熱感、腫脹が生じる。
    5. 白血球が動員される
      好中球や単球が代謝ストレス部位へ移動し、障害細胞、脂質沈着、結晶成分などの処理を行う。
    6. 全身反応が起こる
      IL-6などの刺激で肝臓がCRP、SAAなどの急性期蛋白を産生し、発熱や白血球増加も起こる。
    7. 慢性炎症・組織障害へ進む
      代謝異常が改善すれば炎症は軽減する。持続する場合は低度慢性炎症となり、血管障害、インスリン抵抗性、脂肪肝、動脈硬化、線維化へ進む




    1. 免疫異常が生じる
      自己免疫、アレルギー、免疫複合体形成、補体異常などにより、免疫反応が過剰または誤作動する。
    2. 自己抗原・アレルゲン・免疫複合体が認識される
      自己抗原、外来抗原、IgE結合抗原、免疫複合体などが、T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、樹状細胞、補体などに認識される。
    3. 免疫細胞が活性化する
      T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージなどが活性化し、IL-1、IL-6、TNF-α、IL-4、IL-5、IL-13、IFN-γなどの炎症性サイトカインや抗体を産生する。
    4. 血管反応が起こる
      血管拡張と血管透過性亢進が起こり、発赤、熱感、腫脹が生じる。
    5. 白血球が動員される
      好中球、単球、好酸球、リンパ球などが炎症部位へ移動し、抗原排除、組織攻撃、免疫複合体処理などを行う。
    6. 全身反応が起こる
      IL-6などの刺激で肝臓がCRP、SAAなどの急性期蛋白を産生し、発熱や白血球増加も起こる。
    7. 炎症の収束または慢性化へ進む
      抗原刺激や免疫異常が抑制されると炎症は収束する。持続する場合は慢性炎症となり、組織障害、自己免疫性臓器障害、アレルギー症状、線維化へ進む。
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