脱水
脱水とは、体内の水分が不足した状態であり、発汗、下痢、嘔吐、発熱、利尿などが原因となる。細胞外液と細胞内液のバランスが崩れ、循環血液量の減少や電解質異常を引き起こす。重度になると意識障害やショックに至ることもある。
脱水には主に3つの分類があり、それぞれ体液の成分(ナトリウムと水)の喪失バランスに基づいて区別されます。
■ 脱水の3分類と特徴
| 種類 | 別名 | 特徴 | 原因例 |
|---|---|---|---|
| 高張性脱水 | 純粋水欠乏型 | 水の喪失がナトリウムより多い。血漿浸透圧↑ | 発熱、発汗、糖尿病性高血糖、尿崩症、意識障害時の水分摂取不足など |
| 等張性脱水 | 等調性脱水、水・Na⁺同時喪失型 | 水とナトリウムが等しく失われる。血漿浸透圧=正常 | 出血、大量下痢、嘔吐、火傷、大量利尿、手術後の体液喪失 |
| 低張性脱水 | ナトリウム欠乏型 | ナトリウムの喪失が水より多い。血漿浸透圧↓ | 利尿薬の過剰使用、慢性腎不全、副腎不全(アルドステロン欠乏)など |
■ 各脱水の臨床的意義
高張性脱水では細胞内から水が引き出され、神経系症状(意識障害・痙攣)を起こしやすい。
等張性脱水では循環血液量の減少が中心で、血圧低下やショックに注意。
低張性脱水では水が細胞内に移動しやすく、細胞腫脹や低ナトリウム血症による倦怠感・痙攣が起きやすい。
高張性脱水は、水分の喪失がナトリウムより多く、血漿浸透圧が上昇する。これにより細胞内の水が血管内へ移動し、細胞が脱水状態に陥る。強い口渇や神経症状が現れやすく、意識障害を伴うこともある。発汗や高血糖、尿崩症が主な原因。
低張性脱水は、ナトリウムの喪失が水分より多く、血漿浸透圧が低下する。浸透圧差により水が血管外から細胞内へ移動し、細胞が膨化する。循環血液量が減少し、倦怠感、低血圧、痙攣などの症状が出現。利尿薬や副腎不全が原因となる。
等張性脱水は、水とナトリウムが同程度に失われ、血漿浸透圧は変化しない。細胞内外の水分移動はほとんど起こらず、主に循環血液量の減少が問題となる。血圧低下や頻脈、臓器灌流低下などが起こりやすく、出血、下痢、嘔吐、火傷などが原因となる。
脱水が疑われる場合、体液バランス、電解質、腎機能、循環状態を評価するため、以下の検査が重要。
■ 脱水時に必要な主な検査
| 分類 | 検査項目 | 目的・意義 |
|---|---|---|
| 電解質関連 | Na⁺(ナトリウム)K⁺(カリウム)Cl⁻(クロール) | 脱水の種類(高張性・等張性・低張性)の鑑別に重要 |
| 浸透圧関連 | 血清浸透圧(mOsm/kg)尿浸透圧 | 脱水の重症度や、水分喪失vsナトリウム喪失の評価 |
| 腎機能指標 | BUN(尿素窒素)クレアチニン(Cr)eGFR | 腎血流量の低下や腎機能障害を評価 |
| 血液濃縮の指標 | ヘマトクリット(Ht)血清アルブミン | 血液濃縮の有無を確認(相対的脱水を反映) |
| 尿検査 | 尿比重尿Na⁺ | 尿濃縮能や腎でのNa⁺再吸収状況を反映 |
| 血糖 | 血糖値 | 高血糖に伴う浸透圧性利尿が関与しているかの確認 |
| 血圧・脈拍 | バイタルサイン | 脱水による循環不全の兆候(頻脈・低血圧)を捉える |
■ 補足
BUN/Cr比が上昇(20:1以上) → 腎前性脱水を示唆
高張性脱水では、血清Na⁺↑・浸透圧↑
低張性脱水では、血清Na⁺↓・浸透圧↓


