β-Dグルカン検査は、真菌の細胞壁成分であるβ-Dグルカンを血清中で測定し、深在性真菌感染症を推定する検査である。血液培養より早く結果が得られやすく、カンジダ症、アスペルギルス症、ニューモシスチス肺炎などの早期発見に有用である。原因真菌を直接同定する検査ではないため、単独で確定診断はできないが、発熱、画像所見、培養、抗原検査と組み合わせることで、迅速な治療開始判断に役立つ。ムーコル症では陰性になりやすい点に注意する。
深在性真菌感染症は、免疫低下患者では進行が速く、肺炎、血流感染、敗血症、多臓器障害へ進展しやすい。培養結果を待つ間に病態が悪化することもあるため、β-Dグルカン、画像所見、発熱経過、リスク因子を組み合わせ、早期に治療開始を判断することが重要である。迅速な抗真菌薬投与は、感染拡大を抑え、重症化や死亡リスクを下げる可能性がある。一方で偽陽性もあるため、検査結果は臨床情報と統合して判断する。
深在性真菌感染症の治療は、原因真菌を推定しながら早期に抗真菌薬を開始し、感染源を除去し、免疫低下要因を可能な範囲で改善することが基本である。培養結果を待つと重症化することがあるため、β-Dグルカン、抗原検査、画像、患者背景から経験的治療を開始する場合がある。
| 原因真菌 | 主な治療方針 |
|---|---|
| カンジダ | カンジダ血症ではエキノキャンディン系が初期治療の中心。中心静脈カテーテルが感染源なら抜去を検討する。合併症がなければ、血液培養陰性化後も一定期間治療する。(OUP Academic) |
| アスペルギルス | 侵襲性肺アスペルギルス症ではボリコナゾールが標準的治療薬。イサブコナゾールも選択肢となる。必要に応じて外科的切除や免疫抑制の軽減を検討する。(感染症学会) |
| ムーコル | リポソーマルアムホテリシンBが第一選択。進行が速く組織壊死を起こすため、早期画像評価と外科的デブリードマンが重要。イサブコナゾールやポサコナゾールは代替・救済治療として用いられる。(ECMM) |
治療では、薬剤選択だけでなく、好中球減少の回復、ステロイド減量、血糖管理、カテーテル抜去、膿瘍や壊死組織の除去が予後を左右する。特にムーコル症はβ-Dグルカンが陰性になりやすく、抗真菌薬だけでなく外科的処置を含めた迅速対応が必要となる。
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