グラム染色は、細菌の細胞壁構造の違いを利用し、グラム陽性菌と陰性菌を短時間で分類する基本検査である。検体を塗抹・固定し、クリスタルバイオレット、ヨウ素液、脱色、サフラニンで染色する。陽性菌は厚いペプチドグリカン層により紫色、陰性菌は赤〜ピンク色に染まる。培養・同定より早く菌の有無、形態、分類を推定でき、敗血症、肺炎、髄膜炎、尿路感染症などで初期抗菌薬選択に有用である。耐性菌を疑う手がかりとなり、不要な広域抗菌薬の抑制にも役立つ。
グラム染色の手順
- 塗抹
検体または培養菌をスライドガラスに薄く広げる。 - 固定
乾燥後、火炎固定またはメタノール固定を行い、菌をスライド上に固定する。 - 一次染色
クリスタルバイオレットで染色する。すべての菌が紫色に染まる。 - 媒染
ヨウ素液を加え、クリスタルバイオレットと複合体を形成させる。 - 脱色
アルコールまたはアセトンで脱色する。グラム陽性菌は紫色を保持し、グラム陰性菌は脱色される。 - 対比染色
サフラニンまたはフクシンで染色する。グラム陰性菌は赤〜ピンク色に染まる。 - 鏡検
顕微鏡で観察し、染色性、球菌・桿菌などの形態、配列、白血球の有無を確認する。