侵襲性肺アスペルギルス症は、免疫低下患者でアスペルギルス胞子が肺内に定着し、菌糸が肺組織や血管へ侵入する重篤な真菌感染症である。症状は発熱、咳、胸痛、息切れ、血痰などだが、免疫低下では目立たないこともある。進行すると肺出血、呼吸不全、脳などへの播種を起こす。細菌ではないため抗菌薬は無効で、治療はボリコナゾールなどの抗真菌薬を早期に開始する。抗真菌薬が標準治療である。
アスペルギルスは環境中に存在するカビで、空気中の胞子を吸入して肺胞まで到達する。健康な人ではマクロファージや好中球により除去される。
好中球減少、血液悪性腫瘍、造血幹細胞移植、ステロイド使用などで防御能が低下すると、胞子を十分に排除できなくなる。
胞子が発芽して菌糸となり、肺胞や肺組織内で増殖する。炎症、壊死、結節影、浸潤影などを生じ、発熱・咳・胸痛・血痰の原因となる。
菌糸が血管壁へ侵入すると、血栓、出血、肺梗塞を起こす。進行すると呼吸不全に至り、血流を介して脳、腎臓、皮膚などへ播種することがある。